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最新更新日時: 2017年09月30日 13時06分
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太宰治『斜陽』 - 稀な晴れ-読書,呟き,痕跡-
http://d.hatena.ne.jp/kamiharu/20081206/1228581827

太宰先生の作品は、その退廃的な雰囲気もそうだがそれ以上に文章が好き。読点が多いのだがそれが煩わしくなく、かえってとんとんとんとリズミカルに読める。登場人物の呼吸が文章から感ぜられる。読者も呼吸するように受け入れることが出来る。そして言葉の選びが巧みで、読んでいるだけでとても心地よい気分になる。ふわふわと浮かぶような心地。私にはとてもじゃないが真似できないことである。当然古臭さもあるが、それ以上に今に通じる叙述の美しさと自意識の荒々しさを感じる。

そして何より先生は女性の一人称が巧みである。男性作家で、太宰先生ほど女性をありありと書き出す人を私は知らない。この作品でもそれがいかんなく発揮されている。

『斜陽』では、主人公の女性やその弟の、体面ばかりを気にする貴族の俗らしさへの反感と、一般民衆に溶け込もうと思ってもどうしても脱せない貴族のプライドへの苛立ち、が度々書かれる。これは良家の出身である太宰先生がリアルに抱えた葛藤なのかと思う。そのあたり詳しい書評で紐解く必要がありそうだ。
作成: 2011年01月02日 12時36分 / 更新: 2011年01月02日 12時36分

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