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全般的に、フィクションです

最新更新日時: 2011年12月31日 18時06分
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彼ら5匹のカッコウ達は、自分たちがこの新宿御苑で生存するためのギリギリの戦いの前には、決まって歌を歌うんだ。彼らが里親から聴かされた「母知らずの歌」を。――俺たちはあなたの顔をしらない。だけど知っている。あなたの残した歌を――一匹のカッコウがそれを口ずさみ始めると、ぼそぼそと低い声で仲間たちは歌う。彼らがこの街で生き延びるために、背負ってきた痛みと哀しみが、堰を切ったように彼らの心の中に渦を巻くんだ。彼等はその鈍痛をやり過ごしながら、低く長く声を合わせる。
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遠くで高らかにカラス達が略奪の歌を歌い始めると、仲間の一人がおびえた目で空を見上げた。そいつにみんなの視線が集まって、確かめるように再び、低く長い「母知らずの歌」を歌う。冷たいハーモニーが幾重もの旋律をまとめ上げ、最後にカッコウたちのコーラスはユニゾンへと収斂し、ラストをリーダー格のカッコウのソロへと託す。沈黙から静かに浮かび上がった歌は、やがて沈黙の地平線へと帰っていく。とてもかなしいうただけど、その儀式が終わると不思議とカッコウ達は安らかな気持ちになるんだ。静かな喜びさえもが、彼らの中に共有される。
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(もう恐ろしいことはない)彼等は低くぼそぼそと啼きながらそのことを確かめ合った。彼らの気持ちは歌になって一瞬で消えてしまうものだけれど、歌にしてしまったことで永遠となる。
作成: 2011年02月22日 21時44分 / 更新: 2011年02月22日 21時44分

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