FICTIONS >> 桐壺 2.桐壺の弔いと残されたひとびと >>

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最新更新日時: 2011年12月31日 18時06分
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21.ただあいつの形見として、かかる用もあればと残していやがっていた装束一領、髪上げの調度めく物
月は入り方、空清くすみ渡れるに、風は涼しくなり草むらの虫の声ごえ催し顔なり、立ち離にくきくき草のもとかと

命婦が
鈴虫の声の限りを尽くしても
長き夜飽かず降る涙かな
とやれば

「いとどしく虫のねしげき浅茅生に   露置き添ふる雲の上人
 かごとも聞こえつべくなむ」

 と言はせやがる。おかしき贈り物などあるやがる折でもなし、ただあいつの形見として、かかる用もあればと残していやがっていた装束一領、髪上げの調度めく物を添へやがる。

作成: 2011年01月29日 20時06分 / 更新: 2011年01月29日 20時06分

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